top of page

ハイカーへ福音 道後山麓の一偉観

  • 執筆者の写真: 小鳥 原
    小鳥 原
  • 14 時間前
  • 読了時間: 2分
ree

広島鉄道局では、昨夏風光明媚の瀬戸内海粟島にバンガロー式優雅な"海の家"を建設し、一般海上ハイカーに利用せしめたところ、想像外の好成績をおさめたのに鑑み、こんどは簡易ホテル式の"山の家"を建設しようという議が具体化しつつある。

これが候補地については、四季を通じて利用し得ることを条件として、三輪運輸部長・三木旅客課長・千葉技師ほか係員らが管内の各地を実地調査中であったが、大体道後山に決定をみたので、地元民の協力を得て年度早々具体的設計にとりかかる運びとなった。

「山の家」を常設的なものとするには約1万数千円程度の建設費を要する見込みで、目下経理当局との間に種々折衝を重ねているが、竣成後は諸種の事情から広鉄直営とするには難色があるので結局、地元に経営を委託することとなる模様である。建設場所は今冬麻生武治氏が来山の節、最適地として折紙をつけたといわれる現在のヒュッテ付近の丘陵が選定されるはずであるが、同所付近春はツツジの名所としてハイキングに適し、夏は納涼、秋は高山ハイク、冬はスキーの好適地として知られ、四季を通じて利用されるので、設備もホテル式とし食堂・風呂・電気・寝台など、日用器具一切が供えられるはずで、竣工の暁は道後山麓に瀟洒な偉観が添えられ、山のハイカーを喜ばすことだろう。

中国新聞1937年(昭和12年)3月9日付

bottom of page