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愛の囁きは高原 アベック列車初登場

  • 執筆者の写真: 小鳥 原
    小鳥 原
  • 2025年12月30日
  • 読了時間: 2分

運賃値上げ後、旅客ガタ減りで国鉄またまた青息吐息の難航ぶり。値上げが広鉄の大黒帳にどう影響したか、値上げ前後5日間の模様を拾ってみると、値上前の4月26日から月末までの乗車人員364万名に対し値上げ後5日までは336万名で28万名の減少。その収入は5,730万円で3,000万円近くの減収とは当局もくさるはず。その後一向に成績が上がらず値上げをなぜしたかと頭をひねっているが、広鉄旅客課では危機突破の増収策として考えたのがアベック専用列車。東鉄に"子供専用列車"の先手を打たれて口惜しがった広鉄の苦肉策アベック列車は、この自由恋愛時代に映画館の隅とかオフィスの裏でこそこそと愛のささやきを交わすより、高山植物やツツジ・ツリガネソウなどがらんまん咲き競う夢の別天地道後山公園でのびのびと胸の思いをうちあけなさいという親心?からで、試験的の第1回は5月の週末28日に行われる。

定員250名つまり125組が、広島駅9時56分発810列車に専用客車2両を増結。道後山着14時43分、アベックバスでヒュッテまで運び、同夜は催物など行い甘い夢を結ばせ、翌日は野生のシイタケを4つの手でとらせたり、山頂三角塔50メートル付近のツツジ・アシビの枝にぶら下げた宝探しを行い、その間ツリガネソウをしとねに深緑の大気のもとで大いに語らせようという仕組みだ。帰途は14時10分発列車の専用車で広島まで運ぶ計画だが、とくにアベックは運賃1割・宿泊代5割引という甘いサービスぶりで、バス代ふくめてしめて一組786円でアベック旅行ができるわけ。もちろん老夫婦でもアベックとみなすと当局ではいっている。

中国新聞1949年(昭和24年)5月7日付

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