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弓矢が丸

東城町森西城町高尾は山を挟んで隣合う村である。昔、両村の住民が村の境界を決めるべく話し合ったが、なかなかまとまらない。そこで時間を決めて両村の者が山に入り、両者が出会った地点を境界とすることになった。
森の者は牛に乗って出発した。牛は遅いので、少し早目に出発して急いで歩いたのだが、いくら山を登っても高尾の者が見えない。とうとう高尾の村が眼下に見下ろせる所まで来てしまったが、なお高尾の者が来ている気配が無い。ここで森の者がみんなで大声をあげて叫んだ。
「高尾の奴らは、まだ来ておりんさらんか、まだ行こうか!」
高尾の者は驚いた。高尾側は馬に乗って入山する約束になっており、馬は足も早いし、それに森側は牛に乗って来るのだから相当手間がかかるという安心感から、一カ所に集まり、濁酒を呑みながら大昢に花を咲かせていたのだ。が、突然森側の大声にびっくりし、急いで馬で駆け付けたが時すでに遅し。
だが高尾側も負けてられない。森側が約束を破り早く山に入ったと因縁をつけ、あれこれ話した結果森側が一歩譲歩することとなった。両者の合流地点より森の方向に弓を射て、その矢が落下した地点を境界と定めることにした。そこで高尾の弓の名手が弓を満月の如く引絞り「ビューン」と矢を放った。
矢はちょうど、小丸山に落ち、そしてそこにあった一本松に命中した。このため松の木を境界木と定め、小丸山を「弓矢が丸」と呼び、境界の一本松を「矢が松」と呼ぶようになったそうである。

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