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矢神=東城間愈よきょう開通式
鉄道文化の恵みに浴して喜びにひたる東城町

備後三次と伯備線神代とを結ぶ三神線の第2工区矢神・東城間(8.9キロ)は昨年3月着工以来建設費総額78万円を投じてこのほど竣工いよいよ開通の運びにいたり、きょう25日午後1時半から木の香新しい東城駅で盛大な開通式を挙行する
本区間の線路は岡山県矢神村から右曲県道に併進して同駅より3.7キロの野馳駅を通過25パーミルの勾配をもって降り岡山・広島両県の分水嶺をなしている大竹山にトンネル(延長190メートル)がある、そこから蜿蜒福代の山嘴を削り県道と併進して岩瀬戸の渓谷に沿い東城駅にいたるものであるが、これまで交通の便に恵まれなかった山間の東城町だけに鉄道開通の喜びは大きい、当日には鉄道参与官・大阪鉄道局長・米子建設事務所長・および同保線・運輸両事務所長・広島控訴院長その他官民多数出席するはずで同駅前には祝開通の杉飾りのアーチをたて町内各戸に国旗を掲げ祝提灯を吊るしている、25日から3日間は東城高女生徒・小学校生徒・幼稚園児などの旗行列があり全町を挙げての開通祝いだ、町の子供達が本社の小旗を打振りながら試運転の列車を取囲んで喜んでおり交通文化の恵みに浴する喜びを謳う点景である、東城町は戸数1,089戸・人口4,900人、銘酒「浮心」の産地で主要物産は米・薪炭・繭等で備後東北部産業の中心をなしており名勝帝釈峡は東城から3里、乗合自動車の便がある、なお東城駅長は前矢神駅長の河本輝敬氏である

大阪朝日新聞広島版1930年(昭和5年)11月25日付

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