
20数年間のスキー生活からウィンタースポーツをできるだけ大衆化しようと村の2青年が思い立ち私費を投じてスキー場建設に着手して2ヶ年、今シーズンようやく滑れるように整えたという新春早々相にく雪は少ないがスキーを志す人々には明るいニュースがある雪どころで知られた比婆郡八鉾村織田素氏八鉾郵便局長・平尾久氏薪炭卸商の2人は一昨年経費と場所に制約されてごく一部の人たちのスポーツにすぎないスキーを楽しめるようにと話合った結果、平尾氏所有の芸備線道後山駅裏山を両氏で開発にかかり資金難のため銀嶺クラブを組織して会員の会費で多少でもこの事業に援助してもらえればと思い会員を募集したところ、かえって有料のスキー場とかあるいは営利事業などと思わぬ誤解を受けたため地元民に呼びかけることも遠慮して2人だけの私財でどこまでも押進めることを決意。スキーも今シーズンまでには15台を備え山にある平尾氏の立木も上級スキーヤーに差つかえぬ程度に頂上まで伐採さ、織田氏の過去の体験から初級・中級者用のゲレンデも地形を見て設置。道後山駅裏にはちょっとした山小屋も作っている。汽車から下りてすぐ滑れるので広島・岡山両市からでも日帰りで5時間はスキーを楽しめるため昨年は未完成のままで相当利用客があったとのこと。なお道後山スキー場には遥かにおよばないが宿泊施設も20人くらいは引受けることが出来るのでこれからは地元の人にも手伝ってもらって貸スキーを増したりクツなども用意して行くつもりで、道後山に来た人もここを利用し、ここに来た人はまた道後山スキー場へも行くようにしてより多くの人々のために利用されれば幸いだと両氏は語っている。
中国新聞1952年(昭和27年)1月10日付