無人駅の構内を2ヵ年余にわたって毎日清掃しつづけ、花を生け冬季には除雪作業を行っている若い生徒がある。比婆郡東城町塩原地区民の懇願が入れられて芸備線小奴可駅と八幡駅の中間に内名という無人駅が設けられたのは、さる昭和30年7月。この駅から通学する庄原高校3年生妹尾美顕君(19)は無人駅のため汚れるのをみかね毎朝乗車前に駅の構内や便所を清掃しはじめ、季節の花をさし乗降客にうるおいをあたえ冬季には構内を除雪してきたが、最近同高校2年生有木一興君(17)も加わり清掃を続けているのを同町名越さんが隣接の高田武夫八幡駅長に連絡したため、この善行が明るみにでたもので、4日高田駅長は庄原高校を訪れ、松原校長に両君の清らかなよい行いを告げ、岡山鉄道管理局に両君の表彰方を上申する旨を述べたが、同駅長は「毎月1回巡視していますが、いつも清らかな花がさしてあり、清掃してあるので不思議に思い調査していたものでまったく両君の心がけに感謝しています」と語っている。
中国新聞1957年(昭和32年)11月7日付