土砂くずれ芸備線不通 広島県小奴可-内名間
【東城】18日午後5時半ごろ、広島県比婆郡東城町地方を襲った集中豪雨で同町内名の国鉄芸備線小奴可-内名間で約500メートルに渡って線路に土砂がくずれ、線路約520メートルが押し流されているのを近くの人が見つけ、小奴可駅に連絡した。
このため米子発広島行き下り急行「ちどり3号」が東城駅でストップし同区間は全面不通になった。岡鉄局では上りは庄原・下りは東城下りは東城で折り返し運転しているほか、19日の下り急行「たいしゃく1号」上り同「ちどり4号」の運転を取りやめた。
中国新聞1970年(昭和45年)8月19日付
休止や折り返し運転 芸備線
【岡山】集中豪雨による土砂くずれなどで不通になっている国鉄芸備線備後八幡-小奴可間は復旧に約1ヵ月かかるとみられているが、岡鉄局は20日から同線の列車運転計画を決め、19日発表した。
これによると20日から復旧するまでの期間、下り急行「たいしゃく2号」(岡山-広島)・備後落合午前8時38分発新見行き普通気動車の運転をとりやめるほか、同「たいしゃく1号」の新見-備後落合間・同「ちどり3号」の米子-備後落合間、上りは急行「ちどり1号」の小奴可-米子間・「たいしゃく1号」の小奴可-岡山間・「たいしゃく2号」の備後落合-新見間を運休する。
このほかの列車は、上りは小奴可または備後落合駅で、下りは備後八幡駅で折り返し運転する。運休区間については道路の開通を待ってバス連絡などを検討すると同局では言っている。
中国新聞1970年(昭和45年)8月20日付
不通の芸備線 15日ごろには復旧
【岡山】18日夕、比婆郡東城町一帯を襲った集中豪雨で芸備線備後八幡-小奴可間が不通になっているが、岡鉄局は新見保線区員ら約100人を動員し復旧作業を急いでおり、来月15日ごろには開通する見込みがついた。
豪雨による線路の被害は、路盤流失6ヵ所(180メートル)で約16,000立方メートルの土砂が流失。このほか路盤がくずれた所は2ヵ所(30メートル)、がけくずれ5ヵ所(40メートル)、土砂流入17ヵ所(1,125メートル)で、同局始まって以来の大被害といわれる。
内名駅近くの現地復旧対策本部を中心にして、新見保線区員らがブルドーザー3台・打ちかため機・くい打ち機各2台を使って作業を進めている。しかし現場は山と川にはさまれた狭い場所のうえ、道路も寸断されているため資材の搬入もむずかしいという。被害が大きかっただけに復旧資材も土のう16,000俵・枕木1,100本・レール400メートルなどで、同局では復旧までには約1億円かかると見ている。
なお同局では復旧までの間、下り急行「たいしゃく2号」(岡山-広島)・備後落合午前8時38分発新見行き普通ディーゼルカーの運転をとりやめているほか、同「たいしゃく1号」の新見-備後落合間・同「ちどり3号」の米子-備後落合間、上りは同「ちどり1号」の小奴可-米子間・同「たいしゃく1号」の小奴可-岡山間・同「同2号」の備後落合-新見間を運休。このほかの列車は、上りは小奴可・備後落合両駅で、下りは備後八幡駅で折り返し運転している。
通勤通学客に専用バス 東城-小奴可間
岡鉄管理局は、集中豪雨によるがけくずれや道床の決壊で18日以来不通になっている比婆郡東城町の芸備線備後八幡-小奴可間(14.8キロ)の連絡を図るため、1日から同線東城-小奴可駅間で専用バスを運行、粟田経由東回りコース(23.2キロ)で連絡する。ただし専用バスが利用出来るのは通勤・通学の定期券利用者約150人。一般乗客は同コースの定期バスを利用してもらう。所要時間は次の通り。(カッコ内は接続駅の列車発車時刻)
【東城駅発】8時30分(小奴可駅10:21)・16時20分(同19:21)・17時30分(同19:21)日曜祝日は運休
【小奴可駅発】7時20分(東城駅9:29)・8時10分(同9:39)日曜祝日は運休・17時45分(同18:50)
中国新聞1970年(昭和45年)8月30日付
芸備線、26日ぶり開通
【東城】8月18日、広島県比婆郡東城町北部を襲った集中豪雨で不通となっていた芸備線備後八幡-小奴可間(8.32キロ)の仮復旧工事を進めていた岡鉄局は12日、予定より約1週間早く工事を完了した。これによって同日午後3時51分小奴可駅発上りディーゼルカー(2両編成)から初運行し、同線は26日ぶりに開通した。
この日、開通に先立ち落合機関区から試運転のC58型機関車(95トン)が出動、線路の地盤固めをしたほか、橋脚の沈下や振動状況などを調べ、安全度を確かめた。このあと庄司博一岡鉄局長らも同乗して小奴可駅から初運行のディーゼルカーが出発し、20キロの徐行運転で現場を通過、3分遅れで無事、東城駅に到着、この間で約50人の乗客があった。一方、下りも東城駅発午後4時12分の列車から元通りのダイヤで運行を始めた。
列車が第1内名仮橋りょうにさしかかると待機していた伊藤裕現地災害復旧本部長をはじめ、作業員約100人が連日の苦労を吹き飛ばすように歓声を上げ盛んに手を振って開通を喜んでいた。
同区間の災害個所は、土砂くずれ13・道床流失23で総延長3キロにも及ぶ打撃を受けていた。しかも片方が山・反対側は谷という地形で作業も困難をきわめた。仮復旧工事に投入された人員は新見保線区員ら延べ2,400人、資材は土のう16,000袋・マクラ木1,100本・レール400メートル・橋げた5連・土砂3,000立方メートルにのぼり、総工費約1億円。中でも流失した道床の2ヵ所には第1(20メートル)第2(30メートル)内名仮橋りょうをかけ、鉄骨の特殊支柱を組み合わせた大がかりなものになっている。
中国新聞1970年(昭和45年)9月13日付
復旧工事ほぼ終わる
芸備線備後八幡-小奴可 レール敷くばかり
昨年8月、比婆郡東城町を襲った集中豪雨で、岡鉄局始まって以来の被害を受けた芸備線備後八幡-小奴可駅間(8.32キロ)の本格的災害復旧工事がほぼ完成した。あとは来月7日ごろ、応急工事2つの仮橋りょうの橋げたを撤去し、盛り土をしてレールを敷くだけ。
新見保線区が応急工事のあと、昨年12月から現場に復旧事務所を置いて工費約6,500万円・作業員延べ6,000人以上で復旧工事を進めていた。内名駅近くの道床流出2個所は20メートルと30メートルの橋りょうに改められた。また崩壊した11個所(延長150メートル)は、下部をコンクリートで土止めし、上部に盛り土をするなどしている。現場付近は、片方が山・反対側が深さ10数メートルの谷という地形でトラックがはいらず、対岸からワイヤーロープで資材を運び、冬季は積雪で作業は困難をきわめ、3月末の工期も5月17日まで延長された。
この集中豪雨で同区間に土砂くずれ13・道床流出23・土砂流入87個所(総延長3キロ)の被害を出し昨年9月中旬に応急工事をして列車の徐行運転をしていた。応急工事を合わせると工費総額は約1億円に上る見込み。
中国新聞1971年(昭和46年)4月23日付