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執筆者の写真小鳥 原

岡山発ローカル線<67>東城 帝釈峡への入り口 かつては臨時列車増発も

「観光シーズンに臨時列車を増発してにぎわったこともあるが、ここ4、5年前から、マイカーに客をうばわれてしまった。静かな山間駅ですよ」と東城駅の知光芳郎駅長。広島県比婆郡東城町は東を岡山・北を鳥取に県境を接し、東西17.5キロ・南北30キロの細長い町である。国定公園帝釈峡は同駅からバスで約40分。

古生代後期のころ、サンゴ・ウミユリなどが海中にたい積し、帝釈台を中心に石灰岩台地が生まれたという。この台地が帝釈川によって浸食されてできた約18キロにおよぶ渓谷。ここには世界三大天然橋の一つに数えられる雄橋・白雲洞などの鍾乳洞(しょうにゅうどう)や岩柱・滝などの奇勝・奇岩がある。また大正13年帝釈川をせきとめて造った人造湖・神龍湖も観光資源としてみのがせない。

昨年1年間、帝釈峡を訪れた観光客はざっと22万人(帝釈峡観光協会調べ)。大阪・神戸など京阪神方面の観光客が一番多く、次いで鳥取・島根などの山陰方面となっており、観光客が落とした金は2億3000万円にのぼった。同町の予算の1/5に当たるそう。昨年1年間の観光客を四季別にみると、春(3~5月)18,400人・夏(6~8月)53,800人・秋(9~11月)118,200人・冬(12~2月)2,800人ー秋の紅葉シーズンにとどめをさす。昨年10月16日から11月14日までの土・日曜日、祝日の10日間を例にとってみても、観光バス360台・マイカー9,050台がつめかけ帝釈峡周辺に設けられた4つの無料駐車場(収容能力320台)はいずれも満員。周辺道路は延々2キロもマイカーの河が続いたという。「バスなど大型車が対向できないので道幅を広げない限り交通マヒは解消しない」と庄原警察署東城警察官派出所長の池田勲二警部補も頭をかかえる。(以下省略)

山陽新聞夕刊1972年(昭和47年)4月3日付

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